黒曜の戦場
「ごくんっ……いおりさん優しい人だったよ?」
私は唐揚げを飲み込んでからそう返した。
ちょっと意地悪だし口悪いけど……それは見ての通りわかるから言わないでおく。
未夜くんはゲームを持って来ると言って、ベッドのある部屋へと入っていった。
ゲーム、そっちに置いてたの?
「やさ、しい……?」
「少なくとも、理由もなく怒る人じゃなくて、ただずっと機嫌の悪そうな人なんだな、と思いました」
お弁当を綺麗に食べ終えてから、蓋をして仕舞う。
それからおにぎりにもしっかりと手を出すと、ベルギーズは私のその麗しい食事姿をガン見してから、三人揃って目をまん丸にして視線を合わせていた。
イカつい彼らが目を合わせている様子はなんとも不思議なことに可愛く見えてしまう。
「……えと、無事みたいで、なによりっす」
「…………無事?」
「〆切前だから?」
「いや、未夜さんいたからじゃねぇ?」
「この〆切明けたら女神さんの扱いどうなんの……?」
なにやら雲行きの怪しそうな話を3人でしている。
私のお話のようなのに、全くさっぱりとわからない。
「扱いって……?」
「琥珀ちゃんなら大丈夫だよ」
その場にいなかった声が突如として耳に入り、四人揃ってビクッと体をビクつかせてから声の主へと視線を向けた。