黒曜の戦場


そこには、またもや気配なく現れた咲くんと、その後ろから歩いてくる未夜くんの姿もある。



「咲、さん」

「琥珀ちゃんには、今日が終わったら水曜日まで待機、それからペンテクとトーン削りをマスター出来るように通ってもらう予定ですっ」

「え」



にこやかな笑みを見せて、そう私の(勝手に決められた)今後の予定を私たちに話す咲くん。

そういえば私は、ペンテクを教えてもらうことになるみたいな話は聞いていたけれど……まさか、トーンの削りもすることになるとは初耳だ。

ガッツリ戦力にする気満々じゃないか。

未夜くんがこちらに来ると咲くんをちらりと横目に見る。



「それ、俺教えていい?」

「トーンは未夜に任せる予定だから、お願いするよ」

「ほんとっ!?未夜くんが教えてくれるの!?」



なんということでしょう!!

ということは少なくともトーンのことを教えてもらう時間は癒しの時間になる事が確定したではないか!!

俄然やる気が出てくる琥珀ちゃんです、頑張っちゃいます!!



「ペンテクは雨林かいおりだけどね」

「え」



うきうきわくわく、していた気持ちが、一瞬で冷めていく。

嫌いなわけじゃない、怖いのだ。

師匠(雨林)のしごきが怖いのだ。
< 118 / 505 >

この作品をシェア

pagetop