黒曜の戦場
気の所為だろうか、今『黒曜の』って付いていたのがここのメンバーかのように聴こえたのだけれど。
「琥珀、黒曜に入るの?」
「え……私黒曜に入るの?」
「琥珀ちゃん程の条件の合う人材はなかなか手に入らないから、ここに縛《しば》…………おもてなしする予定だよ」
今、縛って聴こえた!!
縛って!!!聴こえた!!!!
琥珀ちゃんがチョロいからって黒曜のメンバーに入れてアシスタントとしてコキ使う気満々なんだわっ!!
ていうかここ、不良の溜まり場だよね!?
琥珀ちゃん、不良でもギャルでもない一般ピーポーですよっ!!?
「ちなみに時給は850円です」
「…………時給?」
「アシスタント代、出ます」
……なん、だと……??
お金が発生するなんて考えてもいなかったことで、琥珀ちゃんはお金に目がくらみそうになる。
いや、だがしかし、よく考えるんだ琥珀ちゃん、850円安くない??
コキ使われて850円?
「今ならもれなく未夜が付いてきます」
「やり…………まってまって騙されない」
ちょっとヨダレの出てしまいそうに緩んだ口元を隠しつつ、琥珀ちゃんは考える。
いや、考えている時点で既に揺らいでいるのだけれど。