黒曜の戦場
それを考えると学校もあるだろうし、時間は9時5時で決めちゃったここが待遇いい気がする……咲くんになら不満があっても言えそうだし。
うぅん、困った。
黒曜に入るとなってもなにか今までと変化があるのかもわからない……。
「作業は月に一週間程度で」
「作業ない日の方が多い……?」
「ここにある作画資料や漫画は読み放題」
「それはちょっと魅力的」
そこでぐらりとまた意思が揺らいだ直後だった。
「好きな画材使い放題」
「これからよろしくお願いいたします!!!」
気付けば、琥珀ちゃんの頭は咲くんに向かって全力でペコリしていた。
おやおやぁ?不思議だなぁ?
おやつの誘惑にも頑張って耐えたのに、一瞬で努力が水の泡と化したぞ。
おい、いま端っこのベルギーズのどこかから「ちょろ」って聞こえてきたぞっ!!
ちょろいけど!!
琥珀ちゃんちょろいだろうけど、悪口はダメなんだからねっ……!!
ムッとしてベルギーズを睨み付けると、誰も私に目を合わせてはくれなかった。
誰だ今悪口を言ったのは!!むむっ!!!
「琥珀が入るなら俺もはいる」
咲くんの隣にいた未夜くんの視線が、じっとこちらを見つめていた。
そしてまた、口を開く。
「俺も黒曜、はいる」
「……え」