黒曜の戦場
「まぁ、ずいぶんと引っ張れたから、そろそろ教えてもいいかなぁ」
そう言って、プクッと頬を膨らませている私の頬を指でツンと押し込む咲くん。
プスッと空気が口から抜ける。
「俺ね、お話が好きなんだよ」
「……さっき聞いた気がします」
お話、好きなのはわかったけれど、それがなんだろう?
私もお話はすきでよく魔法の〇らんどとかのweb小説を読み漁っている。
恋バナが好きっていう話だろうか?
もしかして実は話が合ったりする??
なんて思っていたけれど、どうやら違うらしく。
「えぇと、創る方が好きなんだよね」
「創る……」
創る方?
ん?とその『お話が好き』という固定された概念にメスを入れられる。
お話が好き。
お話を創る、のが好き?
うん?
「お話、書くんですか……?」
「うん、ていうかほら、漫画描いてるじゃない」
「…………あれ」
漫画って……そもそも作画だけでは成り立たない。
絵が描けるからと連れてこられて、なにも考えずに描いていたけれど、そもそも漫画とはストーリーありきなものである。
むしろ、軸にあるもの。
「え」
「原作つくってるの、俺なんだよね」