黒曜の戦場


「まぁ、ずいぶんと引っ張れたから、そろそろ教えてもいいかなぁ」



そう言って、プクッと頬を膨らませている私の頬を指でツンと押し込む咲くん。

プスッと空気が口から抜ける。



「俺ね、お話が好きなんだよ」

「……さっき聞いた気がします」



お話、好きなのはわかったけれど、それがなんだろう?

私もお話はすきでよく魔法の〇らんどとかのweb小説を読み漁っている。

恋バナが好きっていう話だろうか?

もしかして実は話が合ったりする??



なんて思っていたけれど、どうやら違うらしく。



「えぇと、創る方が好きなんだよね」

「創る……」



創る方?

ん?とその『お話が好き』という固定された概念にメスを入れられる。

お話が好き。

お話を創る、のが好き?



うん?



「お話、書くんですか……?」

「うん、ていうかほら、漫画描いてるじゃない」

「…………あれ」



漫画って……そもそも作画だけでは成り立たない。

絵が描けるからと連れてこられて、なにも考えずに描いていたけれど、そもそも漫画とはストーリーありきなものである。

むしろ、軸にあるもの。



「え」

「原作つくってるの、俺なんだよね」

< 131 / 505 >

この作品をシェア

pagetop