黒曜の戦場


ゾワリと背筋が凍えた。

変な描き方していなかっただろうか?

でも私が描いていたのは下描きであって、ペン入れは雨林さんがしてくれているだろうから……大丈夫だと信じてる。



「咲はなにも話さずに連れてきたの?」

「うん」



にこりと爽やかないい笑みを未夜くんに向けていた。

うん、じゃねぇですわ。

ここに来た時、なんの情報もなかったぞ。

そんな咲くんにチョロチョロっと付いてきちゃったのは、誰でもない琥珀ちゃんですけどねっ!!!



でも今は、作業が楽しいし黒曜の人も優しく接してくれるから、楽しく描けているから文句はない……。



「いやぁ、琥珀ちゃんが来てくれて、いつもより仕上がりが多少早く済みそうで安心したよ」

「私、作業遅いしちょっと小物描いてたくらいですけど」

「それでもすごく助かったんだよ。だからね」

「?」

「ペンテクも削りも頑張って習得して欲しいな」



そうだわ、私これからペンテクと削りの指導が入るということは、この先原稿に直接手を入れることになるってことでもあるじゃない!!

なにそれこっわ!!!



「これからもよろしくね」



一見爽やかに見えるけれど瞳の奥は真っ黒に鋭くて。

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