黒曜の戦場
創作する人はやっぱり、ちょっとどこか変なんだな、この人も含めて、と。
そう実感してしまうような出来事であった。
絶対まだなにか隠してることあるでしょう、これ?
午後の作業が始まると、いつもより人の少ない三人の空間の中、トーンの削りの音が響き渡る。
なんならもう、雨林さんまでトーン作業に入っていた……ということはもう背景は全て入ったのだろうか。
少年誌だと少女誌に比べてトーンの割合が少ない。
けれど細かい作業が無くなるわけでもなく、ちまちまと無言でトーンを貼っていく。
モアレが出ないように気を付けながら。
削りは2人がしてくれているようなので、私は貼って細かいところを切り抜いている。
髪の毛の毛先が切れないようにと慎重な作業が続いていた。
と、その時、なんの前触れもなく扉の開かれる音がドカリとして、ビリッとトーンが髪を引き裂いた。
あ、やっべ、勢い余った。
アミの位置合わせて圧着させればバレないだろうか……?
なんてそぉ……っと位置を正していると、ドカドカとした足音がこちらに向かってくる。
気になるけれど今目を離したらあみの位置のズレがわからなくなると思って原稿用紙から目を離せなかった。
と、直後、私の机の上に影がさす。