黒曜の戦場
「でも、でも私は、ここで『好き』を集めて行ったら、また自由に楽しんで描けるようになるんじゃないかと……期待してしまっています」
初めての画材に触れた。
初めての技術に触れた。
初めての『共同制作』に携わった。
そこに琥珀は、強い高揚感を覚えました。
使い放題と言ってくれた画材たち、まだ使い方もわからないものばかり。
それは私の知らなかった世界で。
私の初めて見る世界で……。
「勝手ながら、期待に胸がるんるんとしてしまうんです」
初日、恐怖と喜びを交えて、布団の中で涙を零しながら眠った。
少し寝不足になってしまった。
倒れた青髪くんの心配もして、ラベンダーのアイマスクを引っ張り出してきた。
けれどやっぱり、私はちゃんと絵が好きなんじゃないかと、黒曜に行って希望が持てたのだ。
だってあの空間は静かなのに、みんなの熱意が強く伝わって来ていたから。
ほろりと落ちていく雫を、咲くんが指先で拭ってくれる。
面倒をかけて申し訳ない。ずずっ。
話すつもりなんてなかったのに、話し始めてしまえば止まらなかった。
小さな小さな琥珀ちゃんの、大きく大きく穴の空いた悩み事。
両親も腫れ物を扱うかのように触れてこなくて。