黒曜の戦場


「芸術……っていうか、感覚的にことを進められちゃう人って、脳の機嫌に弱いんだよ」

「脳の機嫌?」

「疲れていたり、頑張りすぎていたり、眠れなかったりすると、正しく認識するのに使う力が足りなくなっちゃうの。でも無自覚だから、気付かないままそれが作品や表現に響いちゃう」



脳のご機嫌なんて、考えたことも無かった。

私は元気なつもりでいても、脳がご機嫌ナナメで反抗期してることがあるってこと……!?



「え、どうしましょう!?ご機嫌て直ります??」



そんなサイレントな不機嫌を訴えられても、ニブニブちんな琥珀ちゃんにはわからないんですよっ!!?

咲くんが教えてくれなかったらずっと気付かないままだったのかと思うと、気が遠くなりそうだ。

咲くんも脳がご機嫌ナナメになることがあるのだろうか?



「琥珀ちゃんは、考えていた通りのことをしてごらん」

「はぇ?」

「ここで、黒曜で『好き』を集めていく。それでいいと思うよ」



『好き』を集めたい……確かにそう言ったのは私。

けれどそんなことで本当に元のようになれるのかという不安もある。

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