黒曜の戦場
きょとん、と私はあほ面で、目を丸くして見つめ返していたと思う。
自分の感覚に頼れなくなったら、ということだろうか。
初めて読む人がどう思うかを知りたいなら。
それなら、そのストーリーをまだ読んでいない第三者に──。
「他の人に、読んでもらう」
「そうだね。編集さんにも見せるし、その前に雨林やいおりにも読んでもらって、初見の人の意見を頼る」
そうか……創っているものがいいものかわからなくなっていっちゃうことも、あるのか。
私はどうだろう……?
絵でも、そうかもしれない。
完成させた時はすごく満足感に浸れるけれど、描いている最中は、ここの細さ頑張ったのに目立たないなぁとか、遠目から見て潰れるなぁとか、ここはぺたっと塗りすぎているかな、とか。
美しい絵として描いたその作品は、本当に美しく描けているのだろうか、とか。
込めた熱量と、作品の完成度は、必ずしも釣り合うわけではない。
絵は、大きく描いて遠目から全体を眺められるものだ。
縮小したら潰れる部分がどうしても出てくる。
その距離感を活かして作品として創り上げる人もいる。