黒曜の戦場


眉をひそめて訴えていると、突然いおりさんが私の体操服の襟首を掴む。

ヒッ!?と肩をビクつかせていると、そのまま襟を私の鼻に付ける……って!!おぉい!!!



「私の体操服で拭かんでください!!!」

「もう汚れてんだからこれ以上変わんねぇだろ」

「酷い!!!」



腹を出されながらちょんちょん、思ったより優しく拭ってくれて。

次に首裏に手を添えられて、右手を持ち上げられて──。



私の親指で鼻を圧迫する体勢にされた。

後頭部を若干押さえ付けられて下を向く。

私の脳内に沢山のハテナが浮かんでは踊って行く。



「小鼻圧迫して下向いて20分。次垂らした時に役立つだろ、覚えとけ」

「………………これもしかして止血法です??」

「上向くんじゃねぇぞ、俺の股間でも見てろ」

「視線的にはその辺にありましたけど、そう言われると目を逸らしたくなりますね」



とはいえ、こんな冷えるところで20分も待機していたくはない。

片方の鼻が使えなくて鼻声みたくなる。

踊っていた脳内のハテナたちがビックリマークになってぴょんぴょん飛び回る。

活きのいいビックリマークたちだ。



「小鼻って上の方じゃないんですか?」

「膨れてるとこだよ、上掴んでも意味ねぇ」

「さいですか」

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