黒曜の戦場


スマホを取り出すいおりさんが、一瞬の隙をついてパシャリと私を撮る。

まて、堂々と盗撮しないでいただきたい!!!

スマホを奪いたいけれど右手は鼻にあり、左手は現在負傷中である!!!ガッテム!!!



「お前、他に怪我は…………顔か」

「手首も捻りましたが利き手は無事です」

「さすが」



そんな、褒めて貰えるとは思っておらず。

琥珀ちゃんはテレテレと照れてしまう。

おっと鼻血が出ているのに興奮してはいけない。



「なにおまえ興奮すんなよ」

「いおりさんの口から聞くとハレンチなニュアンスに聞こえてくるのでやめてください」

「ハレンチて」


は、鼻で笑われた!!!

優しいのか意地悪なのか本当にわからない人だなっ!!



ぶすくれながら頬を膨らませていると、体育館の奥から数人の足音が聞こえて来た。

昼休みの部活でも始まったのだろうか……なんて思っていると、いおりさんが立ち上がる。



「来たな。お前立てる?」

「?立っていいんです??」

「冷えんだろうが。つーか顔上げんな下げろ。とりあえず保健室行く」



言われてすぐにハッ!として顔を下げると、倉庫の扉の向こうから声が聞こえて来た。

知らない人の声が二人……?かな?
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