黒曜の戦場
いおりさんはというと、ベッドでゴロゴロとしているけれど……先生怒らないのね???
「コウハク……?だっけ。鼻止まったのかよ?」
「私、歌合戦には出ていませんからね!?琥珀ちゃんです!!わざとなの!!?」
「くはっ」
楽しそうにゴロゴロなさっている。
まるで大きな猫だ、猫。
「とまと……間違えた。止まりました」
「どうやって間違えんだよそれ」
「人のこと言えませんからね????」
自分の言い間違えで頭の中でトマトが踊る。
完熟トマトがつるりんボディーを自慢げにアピールしてくるのだ。
ケチャップに加工してやろうか。
今琥珀ちゃんは妄想でも赤色は見たくありませんっ!!
(自爆してるけど)
その時、突然ガラリと保健室の扉が開かれると、そこには見覚えのある顔が。
というかノック!ノックしよう!!?
「ア、ン、タ、ねぇ~~~!!」
「みっちょん!!?」
ご自慢の巻き巻きロングヘアーを靡かせて顔を真っ赤に染めてドタドタと保健室に入って来たのは、私のご友人である満巴《みつは》ちゃんである。
今朝から真顔で私に問い詰めて来る、存在感の強くて凛々しいお友達である。
(なので昼まで誰にも絡まれなかった)