黒曜の戦場
オレンジ頭でピアスまみれのガチガチヤンキーいおりさんに顔を向けると、寝転んでいるおじさんのポーズで、肘をついて欠伸をしてこちらを眺めている。
そんないおりさんに気付いたみっちょんはそちらを見ると「……ん?は?」と目を細める。
更に、制服を持ってきてくれて、おどおどとどうしようか彷徨っている男の子の後ろからは、「琥珀!」と珍しく慌てた様子の未夜くんが入ってきて、その後ろからは咲くんまで。
「……は?」
私を呼ぶ声に振り向いたみっちょんは未夜くん、咲くんと視線を移し、保健室をぐるりと見回す。
「……アンタ、この短期間でなんで逆ハー築いてんの?」
「…………ははっ!!」
「某有名なネズミの真似しても誤魔化されないからな?」
今日のみっちょんはいつになく冷めた声で私の背筋を凍らせた。
咲くんの瞳が珍しくうろたえている。
「別にとって喰いやしないわよ。そこのオレンジ頭と違って」
先生が職員室へと戻っていなくなった保健室。
はむはむ、お弁当を食べている隣で、みっちょんもパンをかじる。
私が来るまで食べるのを待っていてくれてたらしい。はぅ、惚れるぜ。