黒曜の戦場


あーんと口を開けてスタンバイする未夜くんに卵焼きをホイと入れると、一口でもぐもぐいってしまう。

かわいい。一家に一未夜くんほしい。



「しかもあのオレンジ、美術部に突然押しかけておいて私の顔見た途端逃げてったの!信じられる!?少しくらい描かれてから逃げろっての」

「それが嫌だから逃げたんだろうが」

「被写体くらい慣れてんでしょうが!」

「あんな地獄みてぇな空間で黙々と固まってらんねぇだろ」

「地獄……」

「待って二人とも、咲くんに思わぬ大ダメージが飛び火してるからちょっと黙って」



咲くんは既に明後日の方向を見つめているけれど、みっちょん怖かったら先に逃げてもいいからね!?

青髪くんと荷物持ってきてくれた男の子は居た堪れなそうだったから先に帰らせたからね!?



「……で、そうよ。いつの間にこんなダメンズと知り合ってたのよ琥珀?」

「ダメンズ!?」

「主にコイツ」



と言いながら容赦なくネイルの美しい指先を向ける先はいおりさん。

あたり強いなぁ……。



「あー……お手伝いさん要員といいますか……」

「手伝い?」

「…………これ話していいモノ?」

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