黒曜の戦場
~かくかくしかじか、ヘラジカダマジカ~
「なに?つまりあの日美術部に来てたのもアシ探してたってわけ?」
「そう、だったはずなんだけど、ね」
「ごめん、ウチの連中ったら王子が来た途端に目の色変えて、来た理由なんかもわからないままポーズ指示出しちゃってて」
咲くんたら、ニコリとした顔のまま固まってしまった。
そんなに恐怖を抱いたなんて、恐るべし欲目にくらんだ美術部員たち。
「で、アシになって、忠犬(未夜)に懐かれて、女子に目の敵にされて体育倉庫に連れ込まれて鼻血出して手首捻ったと?」
「ハイ」
「利き手かばった?」
「ハイ」
「おばか」
「顔守るでしょ普通」なんて怒りながらも、頭を撫でてくれるみっちょんはやっぱり琥珀ちゃんの大大大好きなみっちょんだ。
ううぅ……みっちょんんんん!!!
ずびびびぃっ!!!
「鼻水拭きなさいよ。あ、でもちゃんと血止まったわね」
「いおりさんがぁ……止血させてくれたからぁ……」
「アンタの体操服で拭いて?」
「そう」
「雑な所がいおらしいわぁ」