黒曜の戦場


「いいよ。アシスタントする時は上だけど、ここに来たときは上でも下でも琥珀ちゃんなら自由に使っていい。ただ下の奴らが全員いい奴ってわけでもないから、そこは気を付けて。まぁ未夜も来るから大丈夫だろうけどね」

「自由に……って!もしかしてそっちにある画材も!?」

「うん。使うときは上に持って行って作業するといいよ」



キラキラと輝く咲くんの笑顔に、琥珀の目もきらきらと輝く。

なんとおいしい、なんと素敵な。

よだれがじゅるり……いかん、はしたないわ琥珀っ!!



「琥珀にとったら少女漫画のキュンより画材の方が魅力的なのね」



やれやれと言いながら背表紙とにらめっこするみっちょんが、一つの作品を手に取る。



「というわけで琥珀、まずは王道から読むわよ」



そう言ったみっちょんから手渡された表紙には『君へ届け』とタイトル名が記されている。

映画化もアニメ化もした、琥珀ですら知っている、王道中の王道作品だった。



琥珀、少女漫画デビューします……!!!
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