黒曜の戦場
その中でも私はひたすら、誰だかもわからないキャラのヘッドホンを描き続け、ヘッドホンを描くレベルだけは上がったような気がした。
お前もうヘッドホン捨てろ!!と思っていたのはここだけの話である。
荷物が多いから車に乗せてもらって、帰宅できたのは23時を過ぎていた。
(親にも連絡は入れたけどさすがに怒られました)
ちなみに描いた小物を背景のメガネの人に見せた時、無言で頷いてくれたので、たぶん私のこの画力でも大丈夫そうだ、よかった。
速く描くことは出来ないけれど。
今日は金曜日だった。
明日は学校がお休みだけれど、帰り際、あの元凶の男に送られた時に口にされた言葉は。
「土日暇だよね?」
「……え?」
一瞬、慣れない集中の仕方をしていたせいで疲れていた頭には、なんの話をされているのかと思ったけれど、じわじわと彼の言いたいことを脳が理解していく。
暇、とは。
「暇だよね?」
「…………っと……」
「じゃあ明日9時に迎え来るからね」
そう、つまりそういうことだ。
私は今日に引き続き、土日の約束までも……いや、もはや強制ですらある、その笑顔。