黒曜の戦場


知らない顔の中から急に知ってる顔(過去二回遭遇しただけ)の彼が駆けつけてくれてとても助かった!!

手を拭きながら《《それ》》を思い出した琥珀は、キレイキレイになったお手手でカーディガンのポケットの中に手を突っ込む。

入れて来ておいてよかった。



「青髪くんにも、これ……」

「……なんすか?」



私が取り出した三枚のアイマスクの袋を見ると、彼は目を見開く。



「これは、あの、噂の……!!!」

「ラベンダーの香りですよっ!!!」



この前渡しそびれて、いおりさんにあげてしまった、蒸気で気持ちよ~くなれるブツだ。ふふっ!!



「こんな……いいんすかっ!?」

「香りが嫌じゃなければ、ぜひとも!!」



周りからぽつりぽつりと「女神だ」「マジ女神だ」「なるほどこういうことか」なんて呟きが聞こえて来るけれど、私そんな大したことしてないからね!!!!



「あ!あとお昼寝用のマフラーも……一階のお部屋に置いてあるから取りに行かないと」

「あぁ!そういやそうっしたね!」



あの日、いおりさんに聞いたからかなんなのか、わざわざお昼寝用とやらのマフラーを鼻血まみれの琥珀に貸してくれた青髪くん。

ちゃんと洗ってキレイキレイしたマフラーちゃんを青髪くんに返すべく、今日はちゃんと持ってきたのです。

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