黒曜の戦場
私の叫びなんて聞いたら真っ先に駆けつけてきそうなみっちょんのアクションがない。
……ここも防音?
外の声が大きいせいもある……?
「ウッザ」
「だっ……な、私……!!?」
「黒曜には頭《ボス》である咲、副長《アンダーボス》であるいおり、それ以下の序列はない。咲が消した」
「……咲くんが?」
「公道の大規模な暴走も、喧嘩も争い事もここではしない。だから序列はいらない。従って、本来女を置く枠もない」
この黒曜の倉庫に来るようになってからまだ数日。
私の把握していることといえば、ここでバイクを乗り回していたりいじってる人がいること、だべりながら雑誌を見ている人、ゲームしている人、時々襟首を掴まれている人……。
思っていたより血生臭い所ではない。
「弱くて居場所のない奴らが安心出来る居場所にする為、許可なく喧嘩吹っ掛けたり強引なことは禁止。やるなら咲の許可がいる。だからといって男だらけの場所が安全なわけねぇ」
「……」
「今回特殊枠として副長の次にお前の枠を作った。下の奴と同等にしたら、お前が何されるかわからねぇから」
「咲、くんが」