黒曜の戦場
19.入ってよかったんですか?
今日は、パーティがあることを知っていたから、いつもより帰りが遅くなることは家族に伝えていた。
なので既に17時を過ぎていても、私はまだここでふわふわと楽しく過ごしていたのだ。
「琥珀ちゃん、琥珀ちゃん」
ふと、今までどこかに行っていた咲くんが、私を呼んでいた。
壁にもたれかかっておいでおいでとしている咲くんがなんだか可愛く見える。
未夜くんから『珈琲牛乳あげる』と貰っていたコップを一旦みっちょんに渡してから、ふふふんとご機嫌で咲くんの元へと駆け付ける琥珀。ふふふふん。
「はいはい!なんでしょうっ!!るんるん!」
「ご機嫌だね、琥珀ちゃん。楽しい?」
「とっても楽しい気持ち!!ふふふん」
ゆらゆら、左右に体を揺らしていると、ぴとりと頬に、冷たい咲くんの手が当たる。
片側を包み込むその手が冷たくて気持ちいい。
気持ちいい?なんでだろう。ふふっ。
「未夜がやってくれたみたいだね」
「うん?」
当てられた手を包むように琥珀の手も当てれば、その手をするりと取られてしまう。
咲くんのおてて、気持ちよかったのに、離れてしまった。
「黒曜にようこそ、琥珀ちゃん」