黒曜の戦場
「バカだよねぇ。どんちゃん騒ぎした後に寝不足で原稿って。まぁあいつら出来るの消しゴムかけてベタ塗る程度だから原稿がぐちゃぐちゃにならなければいいけど」
「えぇ……」
あの人たち、まさかの二日酔いだった……その辺は不良さんだ……。
いや、全然良くないけど。
ちゃんと体労わってあげてほしい。
ていうか、そう、名前を聞かねばならないんだった。
「あの……聞いてもいいですか?」
「うん?」
まだ、この人にも慣れた訳では無い。
恐る恐るだけれど、それまで謎だったことについて尋ねるにはここしかチャンスがないような気がして。
「皆さんの名前、とか、あの人たちが何をしてるか、とか」
「……あ、名前」
「はい、名前」
誰一人として知らないまま一日が終わってしまったもので。
今更ながらのことではあるけれど、その人も驚いたような顔で「そういえば聞いてなかった……」なんて気付いたらしく。
「あの……私、琥珀《こはく》といいます」
そう告げて、私はペコリとその人にお辞儀をした。
琥珀……透き通るような、甘いキャラメルのような色の宝石と同じ名前。