黒曜の戦場
「アイツはあんま人と馴れ合わねぇからなぁ。めずらし」
「前に下の子たちとお酒飲んでたんじゃなかったです?青ちんの二日酔い事件の前日」
「アレは俺が連れ込んだようなもんだからなぁ」
「まさかの元凶がここにいた」
いおくんに誘われちゃ、確かに断るのは難しいかもしれない。
あのリンくんだもんね、ぼっち飯してたくらいだもんね……。
「いいやら悪いやら、お前と馴染めそうでよかったのかもな」
「馴染みますかね?」
「お前しつこそうだから大丈夫だろ」
それは大丈夫なうちに入るのだろうか?
「雨林は言葉が直球でちっと扱いにくいが、未夜見てる通り、面倒見はいいし、背景もうまい。面倒みてもらえ」
「そうですね、私もリンくんから技術たくさん盗んで、引かれるほど上手くなりたいです」
私が最初ここに来た時、背景を描くスピードに圧倒されて引いたほどに、彼の手は正確で速かった。
この黒曜で唯一、細かい作業の得意な人。
その技術を認められている人。
私の師匠さん。
それでいて私の気付かないことも教えてくれる、実は優しい仲間。
また黒曜《ここ》が少し、好きになりました。