黒曜の戦場
「けれどそれは環境のもたらすストレスと、人助けをしたいが為の欲望が底を尽きず、人に貢いでしまうから」
「なんでその設定でギャグ路線に出来ちゃうのか謎も設定も深いですね!!?」
私もまだ実際に漫画を読んだわけではないけれど、確かに描いていた原稿ではギャグのような絵をしていた。
リンくんがたくさん集中線を引いていたし、未夜くんもトーンフラッシュを削っていて、漫画に勢いがついていた。
「俺はさ、作画のみんなとは違って、こうやって一人で街をうろついたり、浮かんできたアイディアを地道に書き溜めてたり、プロット作り……お話全体の流れを書いたりしてるんだ」
「プロットって……ネームの前の?」
「そう。恥ずかしいけど絵は下手だからね、俺」
くすくす、まぶしい明りの下で綺麗に笑う咲くんは、本当に楽しそうにそう話していて。
私は絵には詳しい方ではあるけれど、お話作りにははあまり関わったことがなかったから、なんだか新鮮な気持ちで咲くんのお話を聞いていた。