黒曜の戦場
るんるん、と私の前を歩いて、私の部屋へと向かっていくママンの背を数秒眺めてから、私も部屋へと向かった。
私の鞄を部屋に置いてくれたママンは上機嫌で、「いくつたべる?お腹すいてるなら30こくらいいけちゃいそう?」なんて、上機嫌で尋ねてくるから。
「うん、それくらい食べられちゃいそう!」
琥珀はニコニコとした顔で扉に手をかける。
「出来たら呼ぶわねぇ」
「はぁーい!!」
ママンのいなくなった部屋の扉をパタンと閉めれば、琥珀ちゃんと画材だけの静かな空間だ。
しん、と静まったそこは、以前は好きなものばかりでキラキラとした空間に見えていたのに。
今ではなんだか、牢屋のように冷たく感じる。
「……部活みたいなもんだよね」
琥珀は、それを家族には内緒にしていた。
なんでかっていうと、心配させたくなかったから。
キィ……と椅子を引き、そこに体育座りでちょこんと座り込む。
つかれる。
楽しい気持ちは玄関までだ。
ママンも楽しい人だ、ニコニコしていて可愛くて、気遣いがすごく、すごい。
心配性で、感情をころころと変えて、可愛らしくて。