黒曜の戦場
「ご馳走様でした!」
うちは『幸せの家庭』そのものだと思う。
パパンもママンも優しくて、幸せな三人家族。
幸せな、はずなの。
私が幸せだと思っていれば、ここはきっと理想のお家。
好きなことも自由にさせてくれる。
好きな画材もたくさん買えて、ごはんもおいしくて、たくさん褒めてくれて、たくさん心配してくれる。
なのになぜ、心の中はこんなにズンと重く感じているんだろう。
きっと琥珀が、隠れて悪い子になっちゃって来てるのかもしれない。
素敵な景色があると聞けば小学生の私を連れていってくれた。
毎週のように遊園地や公園に行って、写真も沢山撮って、好きなように遊ばせて貰った子供時代。
たくさんたくさん、楽しい絵を描いては、褒めてもらって。
たくさんたくさん、描いてきた。
でもふと気付いてしまった。
私は絵を描くことをちゃんと、楽しんでいるんだろうか?
褒めてもらいたくて描いていたんだろうか。
喜ばせたかったのだろうか。
本当に、喜んでくれていたのだろうか。