黒曜の戦場
先生から特別扱いされるような、撫でるような声で、媚びるような声で、褒める言葉を並べられる。
それが本心に聞こえなくなって来て、本当はどう思ってるんだろうと怖くなっていく。
友達からも微かに距離をとられて、対等から離れていってしまうような。
いや、琥珀の気持ちが、離れてしまっているのかもしれない。
怖くて、不安で。
『琥珀、全然嬉しくなさそう』
そう、初めてそんな琥珀に気付いてくれたのは、みっちょんだった。
みっちょんは『感性』という言葉を使う。
琥珀の感性が、今はちょっと迷子になっているだけだと。
『ミツも絵を描くから、時々うまく描けない時とか、先生に指摘されたら嫌な時あるよ。それでも好きだから、描き終わったときは嬉しくて仕方がないの』
『……みつちゃん』
『でも琥珀、苦しそう』
真剣な顔をしたみっちょんに、眉間のシワをツンとつつかれた。
『ちょっと、休んでもいいんじゃない?じゃないと続かなそうだよ』