黒曜の戦場


パパンのこともママンのことも、今でも琥珀は大好きだと思ってる。

みっちょんにいい顔しないから、黒曜のみんなのことなんて……なおさらお話できない、けれど。



琥珀が描けなくなったあの時のことを思い返しながら、ベッドに寝転ぶ。

しゃらり、黒曜と琥珀のブレスレットが肌を滑り、そこをゆるりと撫でた。



みんながいない場所でも、こうしているとみんなと一緒にいるみたいで、寂しくない。

アクセサリーなんて、ちょっとしたネックレスしか付けたことのなかった私には、このブレスレットが何よりも、誰よりも、世界一の宝石のように感じた。

咲くんが琥珀のためにくれた、特別なブレスレット。



咲くんが、琥珀のため、に………………。



直後、思い出すのはふわふわとした感覚。

ブレスレットを咲くんから貰った、あの打ち上げパーティーの夜のことだ。



確かこのブレスレットを貰った後に、未夜くんが……きて?あれ?

それから、えぇと……琥珀がお酒飲んでたらしくて……。



それから、それから眠くなって……ふわふわとした感覚しか覚えていない。

ふわふわと、咲くんの香りに包まれた記憶が……。

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