黒曜の戦場
「好きになった人が、琥珀のたいぷなんじゃないかなぁ」
行きつく先はいつも一緒。
まだ体験もしたことのない、そんな理屈。
「んな生ぬりィ考えじゃ三十路になっても処女フラグだぞ、こーはく」
突如、バタンと開かれた先から現れたのは、いおくんだった。
あまりにもびっくりした私たちは、目をカッ開いて彼に注目する。
ていうか登場が荒いんだけど!!
「三十路でジョジョの意味がわからない!」
「いや、処…………お前まだ意味知らねぇのか」
「いおり、それ以上琥珀のこと穢さないで。怒る」
「あ?未夜、こんなことで怒るやつだったか?」
「あのオンナが、怒る」
そこで数秒、考える仕草をした彼は、今度は面白いくらいに顔を青ざめさせていた。
それから私に顔を向け、キリッとした眼差しで再度口を開く。
「ジョジョ、そこの本棚にあるぜ」
「え、ほんとです?」
琥珀はいおくんが人差し指を向けた棚へと視線を向けた。
なんだ、漫画のお話だったのか。
三十路で、ジョジョでフラグ……んむ?
結局琥珀にはよく分からなかったけれど、未夜くんはいおくんをちょっと警戒するようになっていた。