黒曜の戦場

24.どんな世界が見えているんだろう?



着席してポーズをとる琥珀の目の前には、立てた鉛筆越しに片目をつむってこちらを見つめるみっちょん様がいた。



「と!いうことで!!」

「……」

「みっちょんもデートしよっ!!!」

「…………どっから突っ込めばいい?」



美術室の中、少しだけの時間、デッサンの被写体になっている琥珀。

シャッシャッとスケッチブックに長く線を描き込む音が、静かな美術室の中に響く。

みっちょんは描くのが速いんだけど、動きたくてうずうずしてしまう琥珀はちょっとモデルが苦手。



「まず、動くな」

「んむっ」

「それと、なに?デートに誘われた話になんで私が加わってて、アンタがそれに食い付いてんのよ」

「んぐぐっ」

「そもそもアンタは、なんでデートに誘われたのかとか考えたわけ?咲さんはこのこと知ってんの?」

「んぐぐぐぐぐっ……!!」

「口先だけなら動かしていいわよ」



動くなというのは、どうやら話すなということでは無いのだとそこで気付いた琥珀ちゃん。

小さくおちょぼ口でみっちょんへとその説明をする。

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