黒曜の戦場


「いおくんが、みっちょん誘おって……」

「アイツはまた何企んでるんだか」

「資料撮りたいんだって言ってたよ」

「あー……それに私も連れて来いと?」

「うん……でもなんでみっちょんなんだろ?琥珀と仲良しさんだから?」

「いや、そういうことならわかったわ。仕方ない、付き合うわよ」



スマホを取り出したみっちょんが画面に目を向ける。



「今日はこの辺で終わりにするか」と言われると共に、琥珀は大きな解放感に立ち上がってみっちょんに駆け寄り、スケッチブックを覗き込んだ。

ほえぇ……やっぱりみっちょんのデッサンは美しいわぁ……琥珀なのに琥珀じゃないみたいに美人さん。

線が柔らかくて繊細で、陰影の描き方はすごく美しいんだよね、みっちょんの描くデッサンは。

はぅ、惚れるぜ。



「で、琥珀はなんでデートに誘われたと思ってんのよ?」

「うーん……未夜くんは琥珀とデートしたいかららしい」

「だから、あの子がなんでアンタとデートがしたくなったのか、少しでも考えたの?ってこと」

「…………琥珀はみっちょんと未夜くんの間に挟まっておいしいソフトクリーム一緒に食べたいの」

「withいおりかよ」

「いおくんと同じこと言う」



未夜くんが琥珀とデートしたいって言ったのは、先に咲くんと琥珀がデート(?)したからだ。

でもあれはデートじゃなくて、お仕事の一環で……でもデートでもあったらしくて……でも、でも?うーん。

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