黒曜の戦場
廊下の奥から、微かに足音が聴こえてくる。
美術部の人たちが来る時間になったみたいだ。
琥珀にも、咲くんが迎えに来てしまう時間。
「そうね。女にだらしなくないヤツがいいわ」
「それはタイプ、なの……?」
「んじゃ、私に一途になれる人。ってまぁ、いないだろうけど」
「みっちょん、美人さんだから絶対いるよっ!!」
なんなら琥珀はみっちょん一筋だよっ!!
みっちょんが大好きなんだよっ!!
琥珀がこんなに大好きな人、他の人が好きにならないはずがないよっ!!!
「男は自分より強い女なんて大抵の奴は嫌がるのよ。私より強いか、頭良いか、ドMくらいじゃない?ドMは私が却下するけど」
「みっちょん、より、強い人…………?」
ごめんみっちょん、確かにみっちょんより強い人は見たことがないよ……。
みっちょん様、カッコよすぎるんだよ……。
男の子も涙目になっちゃうよ……。
「あれ、でも黒曜の人達なら強いんじゃ……」
「いや、私なんてどうせ敵扱いされてるでしょう?偉ぶって、いお使うわよって脅して、これで好かれてたらどんなモノ好きよ」
はぁ、と大きなため息を吐くみっちょんの頭をなでなでする。