黒曜の戦場


廊下の奥から、微かに足音が聴こえてくる。

美術部の人たちが来る時間になったみたいだ。

琥珀にも、咲くんが迎えに来てしまう時間。



「そうね。女にだらしなくないヤツがいいわ」

「それはタイプ、なの……?」

「んじゃ、私に一途になれる人。ってまぁ、いないだろうけど」

「みっちょん、美人さんだから絶対いるよっ!!」



なんなら琥珀はみっちょん一筋だよっ!!

みっちょんが大好きなんだよっ!!

琥珀がこんなに大好きな人、他の人が好きにならないはずがないよっ!!!



「男は自分より強い女なんて大抵の奴は嫌がるのよ。私より強いか、頭良いか、ドMくらいじゃない?ドMは私が却下するけど」

「みっちょん、より、強い人…………?」



ごめんみっちょん、確かにみっちょんより強い人は見たことがないよ……。

みっちょん様、カッコよすぎるんだよ……。

男の子も涙目になっちゃうよ……。



「あれ、でも黒曜の人達なら強いんじゃ……」

「いや、私なんてどうせ敵扱いされてるでしょう?偉ぶって、いお使うわよって脅して、これで好かれてたらどんなモノ好きよ」



はぁ、と大きなため息を吐くみっちょんの頭をなでなでする。
< 289 / 505 >

この作品をシェア

pagetop