黒曜の戦場


みっちょん、ほんとにいい子で優しくて強くて絵も美しくて、琥珀の理想なんだよ?

それじゃもう、みっちょんは恋愛を諦めているみたいじゃないか。



琥珀が恋愛を語るのもまだ、早いかもしれないけれど。



「いおくんは、嫌ってないよ」



みっちょんのこと、楽しそうに話すいおくん。

ちょっと意地悪そうだけど。



二人がどのくらいの付き合いをしていたのか、琥珀にはわからないけれど、すごく仲良しさんに見えるのに。

琥珀と仲良しになった頃にはもう、みっちょんといおくんは会わなくなっていたのかな。



琥珀、みっちょんと一緒にいていおくんと会ったこと、これまでなかったんだもの。



「いお?いおはまぁ……お兄ちゃんみたいな感じだから」

「お兄……え……?」

「近所に住んでるいっこ上のおにーさん。精神年齢は小学生」

「小学生……」



あれ、ということは……いおくん今年受験生なのでは?



「え?」



漫画、描いてる場合でいいのか……!!?



その時、ザワついた廊下からコンコンとノックされた音が響いた直後には、もう扉は開いていて。

< 290 / 505 >

この作品をシェア

pagetop