黒曜の戦場
みっちょん、ほんとにいい子で優しくて強くて絵も美しくて、琥珀の理想なんだよ?
それじゃもう、みっちょんは恋愛を諦めているみたいじゃないか。
琥珀が恋愛を語るのもまだ、早いかもしれないけれど。
「いおくんは、嫌ってないよ」
みっちょんのこと、楽しそうに話すいおくん。
ちょっと意地悪そうだけど。
二人がどのくらいの付き合いをしていたのか、琥珀にはわからないけれど、すごく仲良しさんに見えるのに。
琥珀と仲良しになった頃にはもう、みっちょんといおくんは会わなくなっていたのかな。
琥珀、みっちょんと一緒にいていおくんと会ったこと、これまでなかったんだもの。
「いお?いおはまぁ……お兄ちゃんみたいな感じだから」
「お兄……え……?」
「近所に住んでるいっこ上のおにーさん。精神年齢は小学生」
「小学生……」
あれ、ということは……いおくん今年受験生なのでは?
「え?」
漫画、描いてる場合でいいのか……!!?
その時、ザワついた廊下からコンコンとノックされた音が響いた直後には、もう扉は開いていて。