黒曜の戦場


自販機に飲み物を買いに行ったみっちょんが戻ってくると、この場を眺めてそう呟いた。



「……え!?さっきまで一緒にいなかった!?」

「トイレ行くっつってそのまま戻ってこないのよ。何してんのアイツ?」

「……便所ですること?」

「未夜くん、みっちょんが言いたいのはきっと、トイレが長いとかじゃない気がする」

「一番ややこしい奴が消えた……まったく」



みっちょんはなんだか少し考えて、ため息をついていた。

その表情は、なんだか憂いているご様子にも見える。



「アンタ、未夜……みゃあでいいわ。みゃあ。ちょっとそこの男子トイレと多目的トイレ見てきて」

「多目的トイレ?」



『みゃあ』はスルーでいいのか?未夜くん。



「あのね、あいつが視界から消えた時、それは一番めんどくさい奴なの。いい琥珀?」

「はい」



いちばんめんどくさい奴とは??

どういうことなのかとみっちょんを見つめると、指を一本ずつ立てて説明してくれた。



「1.トイレでまだ踏ん張ってる」

「ふむ」

「2.女引っ張りこんでる」

「…………女の子!!?」

「3.想定通り、迷子になってる」

「そういえばすぐ迷子になるって言ってた……」

「4.こっち放棄して喧嘩……というか、絡まれてる可能性もあるわ。顔面いかついから」

「ひぇ!!?」

「5.いい場所見付けてスケッチしてる。さぁどれだと思う?」

「難しすぎる問題!!!!」

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