黒曜の戦場


彼らは互いの口をマスクの上から塞いだり自分の口を塞いだり顔を伏せたりしているのに、未夜くんの言葉に素直に反応してしまっている。

誰一人何かを話そうとはしていないのに、確実に尋問していく未夜くん。



「……そもそもこの人数動かしてる人がいるよね」



そう言った未夜くんに、メンバーズは目に見えて焦りを見せる。

図星?図星なのか?



そして、トドメと言わんばかりに。



「……これは、咲が来てるんじゃないの?」

「いやいやそんなことありません!!」

「咲さんは関係ないっす!!」

「俺らただ花を愛でに!!集合かけっ……はっ!!!」

「もうお前ら黙れよっ!!」



急に口数が増えた。

集合かけ、は……?とは?なんだろう。



「琥珀、咲来てるかもしれない」

「……どうやら、そうみたいなのね……?」



なぜ、ここに咲くんが……???



黒曜のメンバーズはしきりに首を振ってアピールしているけれど、それは肯定にしか見えないよ……。

体が素直すぎるんだよ……。

そしてみんな、一言も喋らないように頑張っていたのに、未夜くんの誘導がうますぎた。

< 312 / 505 >

この作品をシェア

pagetop