黒曜の戦場
「俺らはただ、女神さんたちが出かけるから、また攫われないように見守れって言われてただけっすよ」
「また?って、あの体育館の時のことよね?」
「ついでに女神さんの友達のことも見とけって」
「ついでかよ私」
「……咲くん、あの時のことがあって琥珀の心配していてくれてたのかな?」
「……そうかもね」
琥珀も立ち上がってみっちょんと顔を合わせる。
咲くんはいつもそうだ。
琥珀の知らないところで、琥珀のことを守ってくれていて、それを黙っていて、他のみんなからお話を聞くんだ。
「……琥珀、いおの居場所の見当ついたし、アンタたちはデートに来たんだから二人で回ってきてもいいのよ?」
「え、でもみっちょん、みんなで来たんだからみんなで回りたいなぁって……琥珀は思うけど……」
そう、今日の目的はおデート。
「みゃーはどうなの?琥珀と回りたいでしょう?」
未夜くんに向いたみっちょんは、そう尋ねる。
そうだね、未夜くんはどうしたいんだろう?
元々私を誘ってくれたのは未夜くんだ。
「…………二人、だと、まだ困る」
「……え?」
「緊張するから」
そう言った未夜くんの顔は、いつも通りに見えるのに。
口の端がキュッと、結ばれていた。
緊張って?