黒曜の戦場
咲くんは琥珀の片手をとって、両手で握りしめる。
咲くんに包まれた片手は少し熱くて。
琥珀はちょっぴり、ぐらつくような感覚を起こした。
な、なんだこの……今日の咲くんの王子様っぽさは。
いつもよりなんか、キラキラしているように見える。
「琥珀ちゃん、今日は楽しい?」
小首を傾げて、伺うように、咲くんが聞いてくる。
「え……う、うん!楽しいよ!」
「そう、それは良かったよ」
「……あ、あと、それとね」
手を握られたままだと、なんだか照れくさくなってしまう、けれど。
琥珀は咲くんに、言いたいことがあったの。
「いつも琥珀のこと守ってくれて、ありがとう」
面と向かってそう、咲くんにお礼を言うと。
彼は何故か、静かに空を見上げた。
ふぅ、と大きくため息を吐くと、しばらくお空を見ていた。
初めて間近で見たかもしれない咲くんの喉仏が、一瞬上下する。
琥珀からは顔が見えなかったけれど、握られた指先がキュッと一瞬固くなっていて、もしかしたら咲くんも照れているのかな?と思った。