黒曜の戦場
「ずっと……?」
「ずっと。俺が目に入れば何かしら干渉されるし、片っ端から否定される」
「……っ」
「好きになったものも、自分の失敗も成功も、友達関係から趣味まで。ずっと粗探しされる」
寒気が、背中から首元までかけ上げてきた。
なに、それ。
なんで?未夜くんこんなに優しい子なのに……?
そんな苦しそうなこと、これまで欠片も見せたことなかったのに……?
琥珀は、なんて言っていいのかわからない。
「そんなことに慣れてる自分もいた」
「……っそれは、」
「でも雨林が、黒曜に入ったんだ」
慣れちゃいけないこと、そう思った。
でも未夜くんのことを少しでも否定したくない気持ちもあって。
琥珀は、息が詰まって言葉をうまく紡げない。
「リンくんが、先に黒曜に……?」
「雨林も絵をよく描いてて。いおりがスカウトしたって」
「最初に会ってたのはいおくんだったんだ……」
「そう。それで咲のことも知って……『そんなとこ家出しておいで』って、雨林を通じて聞いた。家族は八方美人だけど、雨林も薄々気付いてたみたい。」
琥珀は、こんな時どう声をかけていいのかわからない。
欲しい言葉はわからない。
でも、琥珀の伝えたい気持ちはわかる。