黒曜の戦場
「未夜くんがいてくれて、琥珀は嬉しいよ」
鼻の奥がツンと痛み、目元が潤んでくる。
琥珀は弱いなぁ、弱いけど、弱くてもいいかな。
でもきっと、強いとか弱いとかの問題じゃない。
そんなに苦しい状況から逃げてこれるなんて、ものすごい勇気が必要だったはずだ。
家族が怖いなんて、それに慣れちゃってるだなんて。
一番味方であってほしい、家族に……。
ダメだ、いけない、琥珀が困らせちゃダメなのに。
「未夜くぅぅぅんんんんん」
琥珀の涙腺は大崩壊してしまった。
「なに!!?琥珀どうしたのよっ!!??」
遠くからみっちょんの声が聴こえて少し安心するも、琥珀は首を横にふりふりすることしかできない。
「みゃ……みやくんが優しすぎて、うぇっ」
「吐くんじゃねぇぞ?」
「吐きませぬ……うぅ……」
「あらあら、まったく」
みっちょんがお母さんのように、琥珀にハンカチを当ててティッシュも手にもたせてくれた。しゅき。
琥珀はずっと寂しかった。
学校行けない日、遊びに行けない日、パパンとママンがいてもどこか、寂しかった。
同い年の子となかなか遊べないのは、寂しい事だった。