黒曜の戦場
28.まだそういうのは早くない?
喫茶店を出て温室を堪能すると、すっかり外は夕方になっていた。
やっぱりバラ園もすごく素敵だったけど、ジニアやコスモスもとっても好きな色合いだったなぁ……。
ショップを見たいみっちょんは、めんどくさがるいおくんを説得しているようだったけど、あれはいおくん本気でめんどくさいとは思ってなさそうだなぁ。
からかって来る時の顔してる。
琥珀はそんな2人の後ろを歩きながら、ほのぼのと未夜くんの隣で眺めていた。
「琥珀もお土産ほしい?」
「うん、きっとお花の本とかあるだろうから、ちょっと見たいなぁ」
「いおりに言ってこようか」
「大丈夫だよ、きっといおくんもみっちょんについてってくれるよ」
ふふっと琥珀は、笑いが込み上げてくる。
二人のわちゃわちゃが、仲良さそうで見ているのが好きだなぁ。
ふと、口元に手を当てていたのとは反対の左手が、トンと未夜くんの手に当たる。
あれ、そんなに近づいちゃってたかな。
と、手元を見下ろすのと同時に、手の甲に未夜くんの手の甲が擦られた。
これは……ぶつかったんじゃない。
キュッと握られたその拳が開かれると、琥珀の手を覆った。