黒曜の戦場


「さ、咲くんは優しいよ」

「琥珀は俺の事、優しいと思ってくれてるんだ」

「うん!そ、そうなのよっ」



緊張を誤魔化すように、ニコッと笑う琥珀に、咲くんも笑ってくれる。



「──じゃあ、ごめんね。そんなイメージを壊してしまったら」

「え?」



視線が混じり合い、近付いてくる顔に、思わず琥珀は目をぎゅっと瞑ってしまう。

あぁ、こんなことしちゃ何も見えないし、逃げられなくなるのに。



……と、直後、手の甲にフニッとした感覚が当てられた。

ふに、ふに、何度もそこに感じる。

そろりと瞼を開いてみたら、そこにキスが落とされていて、艶かしい視線とバチッと合ってしまった。



今度は口を開けて舌先を出す所で──え、まって?

まって?なに、なん、な、な……!!?



「咲くっ……!!」



ぬるりとしたその感触は、手の甲に広く伸ばされたと思ったら、指の関節一つ一つにキスを落としていく。

指を、絡ませ合ったまま、琥珀の緊張はピークで。



いや、もう……な、な、舐め……られてた時点で、もう、いっぱいいっぱいなんて通り越していて。

関節にキスを終わえると、今度は溝を擽るように、またチロチロと舐めていく。

なんでっ!!!??

くすぐったいような……でもなんか変な気分になってくるのが琥珀的には問題で。

< 338 / 505 >

この作品をシェア

pagetop