黒曜の戦場
「な、な、なっ……!!?」
「なにお前、キスごときでそんなピーピー言ってんの?」
「ごとき……!!?」
「んな取り乱してたらアシスタントしてたらキスシーンくらい出て来んぞ」
「………………きすしーん」
「キスシーン」
なんでもないことのように言うが、少年漫画にキスシーンてそんなにあるんだろうか……?
え、まって、まだそういうのは早くない?
早くないの……!?
「連載じゃなくても漫画なんて描くからな」
「……そうなの?」
「例えば流行ってるお題。キスしないと出られない部屋とか。一ページ漫画とかイラストでも」
「!!?」
「世間にはそーいうのもあんの」
どんな世界なのそれ!!??
世間にはまだまだ、琥珀のしらない世界があったらしい。ぷぇ。
「で、誰にされた?」
「ぷぇ!!??琥珀き、き、キッ……されてないよ!!」
「はぁ?じゃあ何?噛まれた?」
「ぷぇ!!!!!」
「わかりやす」
そう言って鼻で笑うリンくんは、近くの椅子にどかりと座った。
「まぁ三択だろうけど……でもあいつは最近大人しいか」
なんて言うリンくんは、琥珀に三本指を向けていたうちの一本を仕舞う。
二択……?
「まぁ、どっちでもいいけど」
「リンくんの推察力怖い」
この人、ただのアシスタントさんじゃない、だと……!?
(琥珀がわかりやすいだけ)