黒曜の戦場
と、思っていたら、塀の向こう側でふわふわと移動する白色の髪が移動していた。
ふわふわ、ふわふわ、歩いているようなペースで…………人だ!!!!!!
「すみません!!すみませんそこの白い髪のお方!!!」
届くか!?この想い!!!
琥珀はめいいっぱいに叫ぶ。
すると、その白髪の人はふわりふわりとした動きを止め、その人と塀の上からちらりと目が合った。
……あれ、意外と若そうな人……?
と思ったら、ぴょんと塀を軽々と登ったその人は、近くの木に手を付けて塀の上に立った。
白髪の彼は表情を変えず、ボーッと琥珀を見つめる。
あれ……この人なんだか、見覚えが……?
「あれ、女神さんだ」
こてん、と首をかしげるその人に合わせて、琥珀もこてんと首を傾げ――……女神さんというワードにハッとする。
「黒曜の子?」
「はい。一回会ってますよ、アシで」
「……!!!!」
わかった!!!
フランス色の時の白髪くんだっ!!!!!
「あ、あのっ!私閉じ込められててっ」
「……そこ女子トイレです?」
「そう!誰か連絡とれるでしょうかっ!?」