黒曜の戦場
そう言ういおりさんに、彼は……ハクトくんは、ペコリと頭を下げた。
「また近々、原稿するみたいなんで。またアシ一緒にしましょうね」
手を振るハクトくんに、琥珀も手を振り返す。
「あり、がとっ」
遅刻魔らしいヒーローは、そのまま教室へと向かったらしい。
「え、琥珀は誰かに閉じ込められたの?」
「逆になんでドア開かなくなったと思ってんだお前」
お昼休みはあと10分というところで、琥珀は急いでお弁当を食べていた。
スライド式のドアに棒が立てかけられていて、開かなくなっていたらしい。
なんてこったい!
「ねぇ琥珀、ほかにもなんかないんでしょうね?あったら今のうちに咲さんに言っときなさい」
「何か?なにか……あ」
「あ?」
「あってなに」
「琥珀ちゃん、小さいことでもいいから、気になったことがあったら話してみて?」
優しくそう聞いてくれる咲くんに、既に制服に着替え終えていた琥珀はスカートのポケットの中から例の呪いの手紙を出したのだった。
「あのね、実は呪いのお手紙が――」