黒曜の戦場
普段から優しい微笑みを見せてくれる咲くんから笑みが消えることが不安を煽って、琥珀はへらりと笑った。
「ごめんね、琥珀がおっちょこちょいで……あ!それとも最近、避けちゃうようなこと……」
怒らせてしまったかな?と、でもどうすればいいのか分からない不安で、琥珀は中途半端な笑みのまま視線を落としていく。
どくどくどく、胸が嫌な高鳴りを響かせていく。
喧嘩とか、仲直りとか、そういうのも琥珀は経験が全然なくて、不安で、でも。
──嫌われたくはなくて。
「あ、あのね、咲くん。さっきも来てくれて嬉しかっ──」
琥珀は、話題を変えようとするけれど。
そのとき、近距離からの鋭い咲くんの眼差しに、琥珀は言葉を止める。
咲くんから声は、かけられなかったのに。
じっと見つめられるその眼差しは、決して琥珀を責めている訳では無いのに。
心の底から震え上がりそうになるほど、真っ直ぐで、体がぞくりとして言葉をなくした。