黒曜の戦場


期待か、恐怖か、わからない感情で、ゾワゾワと鳥肌が立っていき……こくり、喉が鳴る。



このまま咲くんに話しても、本当に大丈夫なんだろうか。

琥珀はたぶん……今以上に感情を乱してしまうかもしれない。

けれどもうそれも、こんなに涙を流しているなら今更で──。



「────怖いの」



まず口をついて出た言葉は、それだった。



「うん、何が怖い?」

「さ、咲くんがほんとに……ほんとに琥珀から離れて行っちゃわないか……」

「離れないよ。離れてあげない」



両手を優しく握られて、呼吸がさらに速くなる。



「ふ、震えちゃう」

「かわいいよ、大丈夫」

「は、はずかしいの」

「いいよ、大丈夫だから」



大丈夫大丈夫と言われていると、不思議と大丈夫な気がしてきて……。



「琥珀、怖いの苦手なの……」



さらに涙が出てきてしまう。

今まであったことが次々と駆け巡ってきて、琥珀の恐怖を追体験させる。



「ほんとは、ほんとは咲くんと会う前に絡まれた不良さんも、黒曜の倉庫もメンバーズも最初は怖くてっ」

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