黒曜の戦場
怖くて、でも考えたくなくて、咲くんについていってしまって。
「女の子たちに囲まれて体育倉庫に引っ張りこまれた時も、怖くって」
震える、どんどん震えてくる。
止まらない震えに、咲くんが優しく背中を撫でてくれる。
すると少しだけ落ち着くんだ。
「黒曜のこと知っていって、どんどん好きになっていって……でもそうすると今度は、黒曜から、咲くんから離れるのが怖くなってきて」
琥珀は、役に立たないと、役に立たないとここに居られなくなってしまうと、いっぱいいっぱいに考えてしまっていて。
「絵、描けなくなったままだから……このままアシスタントでも描けなく、なっちゃったらって……」
怖い、怖い怖い怖い。
居場所が無くなることが、拒否されることが、仲間はずれにされることが。
知ってしまったから、あの場所が心地いいと思ってしまったから。
咲くんと一緒にいる時間が、琥珀にとって心安らぐ時間だったから──。
「咲くん、の、隣……いたいのに、体が逃げちゃって」
「……うん」
「ご、ごめんなさいっ!きらいに、なっちゃ……」