黒曜の戦場
嫌われたくない、怖い、ほんとは震えるほど怖い。
本人に話すのなんてもっともっと怖い。
けれどその瞬間、ふわりと優しく引き寄せられた琥珀の体。
背中に回る咲くんの暖かい腕、肩に当たる咲くんの顎。
ぎゅっと優しく、でもしっかりと、抱きしめられていた。
ソファーに座る琥珀、片膝をついて背中に腕を回す咲くん。
「琥珀は、怖いと気付いていたの?」
優しく聞いてくれる咲くんに、徐々に不安がおさまってくる。
琥珀は首を横にふりふりする。
「すぐには、気付かないの。でも後から、怖かったなって……」
「我慢しちゃってるのかもね」
「が、まん……?」
琥珀は、我慢をしていたのかな?
わからない、まだ、全然わからないけど。
「きょ、今日の呪いのお手紙も、カッター貼り付けてあってびっくりしたし……でも怖くなってきたのは今、なの」
「うん」
「閉じ込められて、お昼も食べられないでずっと気付かれなかったらって……怖くて」
「すぐにミツハちゃんが気付いて連絡くれたよ」
「みっちょん……みっちょん大好きなの……」
「それは……うん、ちょっと嫉妬しちゃうけど。ミツハちゃんが琥珀についてくれれてて、嬉しく思うよ」