黒曜の戦場
「いや、お前ミツハだわ。ミツハでしかねぇわ。変わってねぇな」
「人違──ちょ、腕引っ張らないでよクソヤンキーが」
「相変わらずくっそ口悪ぃ」
「誰のせいよ」
以前のような口喧嘩、本気じゃない戯れ。
でも、変わっていたことがあったのは──。
「誰のせいなんだろうなぁ?」
鮮やかなオレンジ頭でピアスジャラジャラなヤンキーになっていて、背が伸びて、ガタイが良くなっていて……。
「ちょっと、描かせなさいよ」
思わず、誘ってしまっていたのは私。
「奇遇だな?俺にも描かせろよ」
「ていうか、なんか私がいるって知ってたの?」
「なにが」
「第一声がまるで私のこと探してたみたいだったから」
軽くそう尋ねたのに、いおからの返事が止まって、スケッチブックを見ていた顔を上げる。
じっと見つめてくる瞳と視線が交差するけれど、それが私を見ているのか、ポーズとして視線まで固定しているのか、わからなくなった。
「探してたっつったら?」
「何百人もいるのに?どうやってよ」
「俺、中学ん時から仲間出来たんだわ」