黒曜の戦場


「その仲間が探してくれたっていうの?」

「つーか、ミツハのこと知ってる奴から聞いた」

「ストーカーかよ」



変わらない軽口を叩き合う。

それにしても、友達じゃなくて仲間が出来たって所がなんというか……。

見た目の変わりようからも察するところがあるけど、中学で相当荒れてたんじゃないか?と思える。

絵は続けてるのかしら?



久しぶりに会うからって、何か話すことがあるわけでもなく、私はただ、あの頃より上達した腕でサクサク彼を描いていた。

誰も来ない静かな空き教室の中、聞こえるのは鉛筆と画用紙が擦れる音。





「なー、ミツハ」

「なに」

「命令する男は嫌いか?」

「なんの話?」

「お前が昔言ってた」

「覚えてないわ」



けれど、少しだけ覚えていることがある。

アレをする男はモテないとか、嫌われるだとか、なんか言っていたような覚えがあるから。

けれど小学生の頃の記憶なんてうっすらとしか覚えていない。



「強引な男は嫌いか?」

「さっきから何?」

「お前はどうなのかと思って」



すぐに描き終えるそれを少し眺めて、それから私は考えるけれど。

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